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当社の考え

2025/07/29

「もらって嬉しいSDGsノベルティ」から考える、ノベルティに“文脈”が求められる時代へ

展示会やイベントで配られるノベルティグッズ。手に取ってみれば、プラスチック製のクリップ、ロゴ入りのボールペン、あるいはレザー調のパスケース。いずれも企業名が刷られていて、配布の目的は「認知度の向上」「記憶への定着」「好感度アップ」といった、販促の定番です。しかし近頃、「もらって嬉しいSDGsノベルティ」という言葉を目にするようになり、その風景が変わりつつあることに気づかされます。

ノベルティの意味も形も、“脱炭素”と“企業価値”というキーワードのもと、静かに再定義され始めているように感じます。もらって「嬉しい」と感じるノベルティとは何か。単に高価なものである必要はありません。役に立つもの、デザインがいいもの、会話のきっかけになるもの。だが「SDGsノベルティ」と冠された瞬間、そこにはもう一つの条件が加わります。「それが何の素材でできているのか」「どのように作られたのか」「どう再生されてきたのか」という、いわば“背景”への興味と納得感です。

つまり、ノベルティという一瞬の接点に「文脈」が求められるようになったのです。これは、かつての“ばらまき型プロモーション”では成し得なかった変化であり、今後の販促全体の在り方を左右する視座と言ってもいいかもしれません。



ノベルティが“企業そのもの”を語り始めた



なぜ、脱炭素と販促の両立がこれほど重要になってきたのでしょうか。それは、商品やサービスだけでなく、「その企業がどんな未来を目指しているのか」が、選ばれる条件の一つになったからではないかと思います。BtoBでもBtoCでも、関係構築の起点には常に“共感”があります。SDGsという言葉が広く浸透し、環境や人権、ダイバーシティといった価値があらゆる場面で語られる今、販促物であっても、「企業がどのような姿勢で社会と向き合っているか」を象徴する存在になってきているようです。つまり、ノベルティは「伝えるツール」から「企業そのものの象徴」へと変化し始めたのでしょう。たとえば、再生繊維フェルトでできたパスケースや、廃棄ユニフォームをアップサイクルしたカードホルダー、回収されたペットボトルを使ったプランターなどは、その素材の出自自体が「物語」を内包しているのです。受け取る側は、「ただの販促品」ではなく、「この会社は、こんなものをこんな素材で、こんな思いで作っているのか」と自然に企業の世界観に触れていきます。たとえ会話が生まれなくても、無言のままに価値観が共有されるのです。こうした文脈があるとき、ノベルティは“好意的な印象の媒介”として圧倒的に強いものとなります。



「回して終わり」から「つなげて始まる」へ



さらに重要なのは、“もらって終わり”ではない設計です。再生素材を使ったノベルティが、使い終わったあと回収され、再び製品へと循環していくような仕組みがあれば、それは「サーキュラーエコノミーの体験」に他なりません。単なる物質的なやりとりではなく、消費者や顧客が“資源の循環”に参加したという感覚を持つことができるのです。この参加体験が、「この会社と関わること自体が未来への投資である」という印象を育てていくのではないでしょうか。販促はモノを配る行為ではなく、「関係性の構築」です。その本質に立ち返ったとき、SDGsノベルティはきわめて有効なコミュニケーション資源となります。一方で、「SDGsノベルティ」と称して表面的なアピールに終始しているケースも少なくありません。エコバッグの素材が実際には石油系合成繊維であったり、バイオマス配合と書かれていても具体的な配合率や評価基準が不明であったりすることもあります。こうした“グリーンウォッシュ”が見抜かれる時代において、重要なのは「透明性」と「誠実さ」です。「この素材はどこから来て、どんな工程を経て、何に生まれ変わったのか」を明示し、それが可能である設計にすること。ノベルティは使い捨てであってはなりません。だからこそ、企業側には「配るものの命を考える視点」が必要なのです。



意味を届ける時代のプロモーションへ(SDGsノベルティ)



受け取る側にとっての“主語の転換”も重要です。「この企業が環境配慮している」だけではなく、「この商品を使うことで自分もサステナブルに貢献している」と思える設計にすること。たとえば、「あなたの使い終わった制服が、こうして製品になっています」「このノベルティは、〇〇県の学校で使われた古着からできています」というふうに、誰かの物語の続きを今、自分が受け取っているという実感を持てるとき、ノベルティは「感情に残る体験」として機能します。それは、企業からの一方通行ではない、「共に関わる」関係の始まりとなります。

結局のところ、ノベルティは手段に過ぎません。しかし、その手段に「どんな姿勢で」「どんな未来を託して」「どんな人に届けたいのか」という設計思想があるかどうかで、効果はまったく異なります。脱炭素という大義と、販促という現場実務。両者を分けるのではなく、結びつけるには、ノベルティこそが適しています。なぜなら、ノベルティは“届けるために存在する”からです。その形状も、素材も、ストーリーも、全てが企業と社会の関係性を映し出す鏡となります。

もらって嬉しいSDGsノベルティ。それは、もはや「環境にやさしいものをくれた」ではなく、「自分も何かに関われた気がする」「この企業と未来を共有したいと思った」という体験の入り口です。脱炭素と販促は矛盾しません。それどころか、視点と発想を変えれば、最も創造的に結びつけられる関係です。ノベルティのあり方を問い直すことは、販促の本質を再定義することでもあり、ひいては企業の未来像を社会に問うことでもあります。大量に配る時代は終わりました。これからは、「意味を届ける」時代が始まるのだと思います。

さて、私たちの再生繊維フェルトRebornfiber®も、そのお手伝いができるでしょうか。

古着や制服を原料とした新素材。





執筆者


有村芳文

株式会社GREEN FLAG 代表取締役。




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