コラム
2024/08/23
不用な作業服・ユニフォームをマテリアルリサイクルで再活用しませんか?
製造業やサービス業の企業にとって作業服・ユニフォームは従業員の安全確保とブランドイメージの統一感を保つために欠かせないものですが、不用となった際の処理は大きな課題となります。
現状では廃棄処分をすることに罰則などはありませんがEUではすでに衣料廃棄禁止の規制が誕生したことから考えると、近い将来、世界的にこのような作業服などの衣類もリサイクルが必須となることが考えられます。
GREEN FLAGでは繊維リサイクル手法の中でも最もシンプルである「マテリアルリサイクル」によって、不用になった作業服やユニフォームから新素材を作り新しい役割を与えるお手伝いをしています。
今回はこのマテリアルリサイクルで不用な作業服・ユニフォームをどのように再利用できるのかを解説します。共にマテリアルリサイクルの可能性を知り、新たな取り組みの可能性を探っていきましょう。
●他のリサイクル方法との違い
●マテリアルリサイクルの主な例
●作業服リサイクルの必要性
●GREEN FLAGのマテリアルリサイクルについて
●Rebornfiber®のメリット
●具体的な取り組みプロセス
●企業事例紹介
●まとめ
マテリアルリサイクルとは
繊維製品におけるマテリアルリサイクルとは、使用済みの衣類を原材料として再利用し、新しい製品を作るリサイクルプロセスを指します。
天然繊維・化学繊維・混紡繊維と組成に関係なくあらゆる繊維製品を資源として活用できるという点が最大のメリットです。
繊維リサイクルの理想形は「繊維to繊維」であることは事実ですが、すべての繊維製品を繊維to繊維で循環させるためには課題が多くあり、マテリアルリサイクルは繊維資源を効率よく有効活用できるリサイクル手法として環境配慮に重要な役割を果たしています。
他のリサイクル方法との違い
リサイクルにはマテリアルリサイクル以外にも、ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルがあります。ケミカルリサイクルは化学的に繊維を分解して原料に戻す方法であり、前述のような「繊維to繊維」を実現できるリサイクル手法です。
サーマルリサイクルについては廃棄繊維を熱エネルギーとして有効活用する方法ですが、CO2を排出しながら焼却しているという観点で、環境意識の高い海外ではリサイクルとは認められておりません。
マテリアルリサイクルはこれらの2つのリサイクル方法とは異なり素材そのものを再利用するため、エネルギーの消費が少なく環境負荷が低いリサイクルとされています。
マテリアルリサイクルの具体例
ウエスとしてリサイクル
最もシンプルなリサイクル方法として知られているのがウエスとしての活用です。回収した作業服やユニフォームを裁断して布状にバラし、工場などで油拭き用のウエスとして再利用します。
軍手へのリサイクル
回収した作業着やユニフォームを反毛してわた状にした後、紡績したリサイクルの糸で作られる代表的な製品です。現場で軍手を使用する企業であれば、自社で排出した古繊維を自社内で資源循環することができる方法とも言えるでしょう。
自動車内装材へのリサイクル
軍手の場合と同じく、回収した古繊維をわた状になるまで反毛したのち、フェルトに成形して自動車の内装材として活用する方法です。大量の繊維をリサイクルできる手段ではありますが人の目に触れるような活用方法ではないため、内装材に繊維のリサイクル素材が使われていることはあまり知られていないという事実もあります。
新しいものづくりでリサイクル
前述と同様にわた状に戻した繊維を使って新しい素材を生み出し、その素材で自社にとってプラスになるものづくりを行う方法です。ウエス・自動車内装材などは実用的な反面、一般的にはあまり知られていないリサイクル製品のため実際にリサイクルを行った結果を表現することが難しいですが、新しいものづくりを通じて行うリサイクルの場合は、世の中の人の目に留まりやすく強いメッセージを発信できる可能性を持っています。
作業服リサイクルの必要性
大手ではすでに取り組みが進んでいる企業もありますが、全体でみれば作業服やユニフォームは最終的には処分となっていることのほうが多いのが現状です。
事業の持続性と成長に寄与した作業着やユニフォームが、環境の持続可能性を妨げている可能性があるということに目を背けてはいけません。
使用済みの作業服をしっかりと見届けられる形でリサイクルすることは、自社の貴重な資源を有効活用するということでもあります。
リサイクルによって新しい価値を付与し事業成長のために活用することができれば、企業の成長にも大きなメリットが生まれます。
GREEN FLAGのマテリアルリサイクル
GREEN FLAGのマテリアルリサイクルでは古繊維を原料にしたRebornfiber®を製造しています。Rebornfiber®は繊維100%のフェルトボードであり、雑貨・家具・什器などあらゆるアウトプットを実現できる汎用性をもつ新しい素材です。これにより従来からあるウエスや自動車内装材へのアウトプットでは難しかった「サステナビリティへの取り組みの見える化」を叶えることができます。
自社で排出された古繊維が企業の価値を高めるPRの役割を果たし、従業員の働きやすさをつくり、そして時には新たな収益を生み出す商品にもなる。そんな資源循環の理想の形を実現できるマテリアルリサイクルです。
社会と共に持続可能な企業を目指す以上、避けては通れない課題に向き合う有効な手段といえるでしょう。
Rebornfiber®のメリット
組成にこだわらない自由度が高いリサイクル
Rebornfiber®は素材に関係なく原料化が可能です。作業服やユニフォームは機能性を実現するために様々な素材を複合的に使用している場合が多いですが、基本的には紡績された布地であれば天然繊維・化学繊維・混紡繊維に関わらず資源として扱います。ボタン・ファスナー・中綿など、使用できない部分を省いても平均で7割程度は原料になり、細かい組成の分別を必要とせずにリサイクルができるという点はRebornfiber®の大きなメリットです。
コストパフォーマンス
GREENFLAGでは繊維リサイクルの取り組みをコストで諦めてしまうことがないよう、Rebornfiber®ボードを工業用品グレートの価格設定で提供することにこだわっています。
取り組みを始めやすいボリューム感
小規模でもオリジナルボードの製造にチャレンジをしていただけるよう、最低60kg~の古繊維でオリジナルボードの製造が可能な仕組みとなっています。仮に60kg分の不用な作業服をお預かりした場合、5㎜厚なら約15枚、10mm厚の場合は約8枚程度のオリジナルRebornfiber®ボードが誕生します。具体的な活用方法から逆算してRebornfiber®ボードの硬さや厚みを調整することもできます。
作業服リサイクルの具体的な進め方
お打ち合わせ
当社は廃棄繊維の回収業のみは行っておらず、お預かりした廃棄繊維を原料としたオリジナルRebornfiber®ボードを製造し、そのボードを活用していただくことで一連のプロジェクトが成立します。そのためまずはお打ち合わせを実施させていただき、完成した素材をどのようなものづくりに活用するかを決めていきます。ノベルティや什器などの場合は2次加工まで含めて当社でお引き受けできますが、お客様のほうで2次加工を行っていただく場合はボードの状態でのお渡しも可能です。いずれにせよ、何度かのお打ち合わせを通じて展開方法を定め、それに合わせたボードの厚み・硬さなどを検討して参ります。
作業服お預かり・分別
使用済みの作業服をお預かりし、前さばきの作業を行います。作業は社会福利支援としてB型障がい者就労施設に委託しており、フェルト製造時に原料にできないボタンやファスナーなどのパーツを手作業で丁寧に取り外します。
フェルト成形
布地のみになった作業服を専用の機械で細かく裁断したのちに反毛してフェルトボードを成形します。この時点でアウトプットのものづくりに合わせた硬さや厚みの調整を行います。
2次加工
成形したRebornfiber®ボードを加工現場へ送り込み、お客様が希望するアイテムを製造します。国内の現場が主ですが、縫製品の大ロットなどの場合は海外工場へ素材を送り込み、海外製造を行う場合もございます。
企業事例の紹介
日本メンテナンス工業会様では約500着の不用になった作業服を回収してオリジナルのRebornfiber®ボードをつくり、自社展示会の装飾・展示物・ノベルティ・什器など一式をRebornfiber®で製造しました。
多くの来場者が訪れる展示会で自社の取り組みを空間全体で表現してSDGsの必要性を伝えると共に、会期終了後の廃棄物を削減することにも貢献できています。
Rebornfiber®は過度な2次加工をしない場合は資源循環が可能なため、このように期限が設けらた場所で活用することにも長けています。
まとめ
いかがでしたか。Rebornfiber®としてマテリアルリサイクルすることへの可能性を感じていただき、自社で不用になった作業服やユニフォームなどの処理について、今一度見直すきっかけになれば幸いです。
当社ではお客様からお預かりした廃棄繊維をボード化・シート化して、企業活動のお役に立つ新しい材料としてお戻しするサービスを行っています。古着、繊維くず、ユニフォーム、リネンなど、作業着やユニフォームに限らず繊維であれば何でもご相談可能です。詳しい事業内容をご覧になりたい方はGREEN FLAG事業紹介ページをご覧ください。
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