コラム
2024/04/15
Rebornfiber®はMDFと何がちがうの?それぞれの解説と違いをご紹介
Rebornfiber®のRHシリーズとMDF、見た目が似ていることからどんな違いがあるのかというご質問をいただくことが多くあります。ファイバーボードである点でRebornfiber®ボードとMDFは共通していますが、ひとつひとつの要素を深堀りすると異なる素材であることが分かりやすくなります。どちらの素材にも向き不向きがあるため、用途や目的によって上手く使い分けられれば、造形物の表現を広げることにも繋がります。今回はこのような疑問にお答えするため、それぞれの素材についての基本情報と、違いを知れるポイントを解説します。
基本情報
MDFとはどんな素材?
MDF(Medium Density Fiberboard)は、中密度繊維板とも呼ばれ、木材を粉砕した細かい繊維を原料にして樹脂やワックスを加えて高温高圧で圧縮して作られるファイバーボードです。
加工適正が高いため家具や内装材など幅広い用途で使用されており、いまや木工製作の定番材であるといえるでしょう。
木材よりも安価でありながら、耐久性や強度も兼ね備えているため、コストパフォーマンスに優れた素材として人気があります。
メリット
■加工適正が高い
表面が滑らかで均一なため、裁断や穴あけなどの加工がしやすく細かな形状が作りやすい
■コストパフェ―マンス
天然木材に比べて安価でありながら高品質な素材
■均一な質感
材質が均一であるため、製品によるばらつきが少なく安定した品質である
デメリット
■水や湿度に弱い
空気中の水分であっても吸収すると変形や膨張が発生し、カビや腐食が発生しやすくなる
■傷の修復が困難
傷がついた場合の修復が難しく、表面処理をした場合は特に傷が目立つ
Rebornfiber®ボードとはどんな素材?
Rebornfiber®ボードは廃棄繊維が主原料であり、エアレイド製法で作られた多孔質な再生繊維フェルト(Rebornfiber®)を熱プレスによって成形した硬質ボードです。
水や接着剤は一切使用することなく、繊維100%でつくられているため、繊維のメリットがそのまま反映されている新しい素材です。
メリット
■反りにくく曲げに強い
接着剤不使用で繊維同士を絡め合わせて作られているため通気性が高く、水に濡れても乾きやすく湿気があっても反りにくい
■吸音性・断熱性に優れている
多孔質のため硬質なボードでありながら吸音や断熱効果がある
■様々な加工に対応
木材と同様の加工はもちろん、薄型のシートタイプであれば縫製加工や曲面への貼り合わせも可能
デメリット
■表面に個体差がある
廃棄繊維を使用しているため全く同じ表面の仕上がりにはならない
■裁断時の繊維粉がでやすい
ほつれることはないが、断面に繊維感が出やすくなるため断面をきれいに仕上げるためには
レーザーカットの使用やヤスリ仕上げなどで工夫する必要がある
違いを知るための4つのポイント
繊維ボードとして見た目もよく似ている2つの素材ですが、ポイントに分けて比較をしていくと違いがはっきり見えてきます、それぞれの特徴を捉えたうえで、シーンや用途に合わせた使い分けができるよう、主な違いポイントを4つご紹介します。
原料
同じ「ファイバーボード」でも原材料が違う
MDFは主に建築解体材チップや木製品の製造端材、間伐材などを原料にしており、いわば木繊維のマテリアルリサイクルによる木材です。
Rebornfiber®は廃棄衣類、繊維製品の端材、布系資材の廃材が原料であり、その中でもRHシリーズはコーヒー豆の輸入用麻袋のマテリアルリサイクルをしたフェルト材となります。
どちらもリサイクル原料を使用しているという点で環境に配慮した素材であることは共通しています。
製法
同じ「ファイバーボード」でも製法が違う
Rebornfiber®ボードもMDFも繊維から作られたファイバーボードですが、MDFとはボードに仕上げるまでの工程が異なります。
MDFは少量の接着剤を混ぜ合わせた熱圧によって成型で作られている一方で、Rebornfiber®ボードは融着繊維を絡み合わせてフェルト状のシートを製造し、そのフェルトを熱プレスで硬質化しています。この製法の違いによって、前述したそれぞれのメリットの違いを生み出しています。
環境
課題は同じでもアプローチがちがう
前述の通りMDFは間伐材などをしているため、積極的に活用することは都市部へCO2を貯蔵することを意味しています。間伐材を使い、新しい森林の育成を促すことでカーボンニュートラルの実現というアプローチへの貢献度が高い素材です。
一方でRebornfiber®ボードは、国内で年間約100トンにも及ぶ廃棄繊維の削減に貢献する素材として、廃棄繊維の中でもリサイクルが難しい混紡繊維(天然繊維×化学繊維など、異素材を組み合わせて紡績した繊維)を含む、あらゆる繊維製品の循環資源化を実現するために日々用途開発を進めています。
本来なら焼却処分となる運命だった廃棄繊維を資源として活用することにより、燃やさずに済んだことで削減できたCO2を「推計CO2削減量」として製品紹介ページ内に記載しています。
GREEN FLAG 製品紹介ページ活用
活用シーンは同じでもアウトプットがちがう
MDFも用途に合わせ様々な厚みのバリエーションがありますが、基本的にはすべて木工用途で使用する硬質ボードとなります。
Rebornfiber®ボードはフェルト材であるという点から、硬さ×厚みのバリエーションをより広く持っており、最も薄いもので0.5mm厚とまるで生地のようなシートから、10mm,20mmといった木工向けの厚みまで幅広い製造を可能にしています。
またクッション性を重視したやわらかい材料にもなるため、たとえばベンチの座面や防災マットなど、木材では再現しにくい製品へのアウトプットも可能です。
まとめ
さまざまなポイントごとに見比べると、Rebornfiber®ボードとMDFの違いは分かりやすかったのではないでしょうか。
多様性が求められる今の時代、ユーザーのニーズも様々であり、叶えたい空間表現も多様な広がりを見せているでしょう。
従来の材料では再現が難しかった表現や、様々な素材を組み合わせることで実現できる空間など、素材の特徴を上手くとらえることで、いまだからこそ生み出せるアウトプットがあるのではないかと思います。
すべての素材にメリット・デメリットはありますが、Rebornfiber®ボードのユニークな特徴が、新しいモノづくりのきっかけになれば嬉しいです。
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