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コラム

2023/12/24

マテリアルリサイクルとリサイクルは違うの?リサイクルの種類や課題をわかりやすく解説!

こんにちは。再生繊維フェルト製品を販売するGREEN FLAGのyokokuraです。

いま多くの企業が取り組みを視野に入れているマテリアルリサイクル。

マテリアルリサイクルとはリサイクル手法のひとつであり、リサイクルには様々な種類と特徴があることをご存じでしょうか。

ほんの10年前まではリサイクルに種類があるなんてことさえも知られていなかった領域のため、マテリアルリサイクルと言われてもピンとこない方も多いかと思います。

この記事では、マテリアルリサイクルとは何かを明らかにすると共に、その他のリサイクルにはどんな種類があるのかも解説し、それぞれの違いとメリットや課題点までを分かりやすく解説していきます。


目次(読みたいブロックにジャンプします)




リサイクルの基本概念


◆『リサイクル』とはなにか

リサイクルとは、私たちの生活で使用済みとなった製品や不用品、また産業で排出される不用な材料などをそのまま廃棄するのではなく、もう一度再利用する方法を考え、新しい活路を作り出すプロセスを指します。

最も身近なもので言えば、紙やペットボトルは同様の用途で再利用する再生紙や再生ペットとして「リサイクル」が確立されており、リサイクルを前提とした仕分けを行って家庭ゴミを出すことも今や当たり前になっています。

リサイクルは新たな資源の消費を減らし、環境負荷を低減させながら私たちの生活水準を維持するために非常に重要な取り組みなのです。



◆リサイクルには3種類ある


リサイクルにはその手法ごとに大きく3種類に分類ができます。

「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」です。

基本概念はどれも同じですが、リサイクルの種類ごとにどんな手法によるものなのかを知ることで、リサイクル全体の課題感もより明確に見えてきます。

マテリアルリサイクルがリサイクルの手法のひとつだということが理解できたところで、つぎはそれぞれの種類ごとにリサイクルの手法について詳しく見ていきましょう。




マテリアル・ケミカル・サーマルリサイクルについて




マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を粉砕・分解・溶融などの技術を用いて新たな製品を作るための原料にするリサイクル手法となります。

マテリアルという名の通り、モノtoモノの考え方で実現するリサイクルであり、リサイクル手法のなかではエネルギー消費量が少なく、環境への付加が少ないリサイクルになるということもあり、今数々の企業が注目し、研究開発を進めています。

資源の消費削減を行いながら環境への負担も少ないモノづくりができる、環境評価が高いリサイクル手法なのです。


具体例

衣類を反毛して成形した自動車の内装材

金属くずを溶かして再生した延べ棒や鉄板

プラスチック資材を粉砕して再成型した再生プラの輸送用パレット



ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学的に分解して合成し、新たな原料となる物質を作り出してその原料を用いて新たな製品を生み出すリサイクル手法となります。

近年急速に発達しているこの手法では、例えば回収したペットボトルを粉砕してペレット(粒上の合成樹脂)にして、その原料から化繊の糸を生み出し、Tシャツやバッグなどの製品を作るといった取り組みが主流となっています。

このプロセスには事前に素材の分類分けが重要で、ケミカルリサイクルを更に加速させるには製造時からリサイクルを意識した製品の設計が重要となります。


具体例

プラスチックを分解した石油

ポリエステル100%の廃棄アパレルからつくるポリエステル繊維

畜産糞尿を使用したバイオガス



サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、廃棄物をエネルギー(燃料)として再利用するリサイクル手法です

マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが困難な素材や、分類・仕分けに膨大な労力とコストが掛かってしまうものは、このように焼却時の熱エネルギーを活用することで、事実上は「リサイクル(再利用)している。」ということになるのです。


具体例

焼却工場の余熱を利用した温水プール

火力発電による電気事業者への売電

セメント製造設備の燃料



それぞれができること・できないことを補いながら、廃棄物の内容や状態に合わせたリサイクル手法が採用されていますが、欧米では「サーマル(燃焼)」に伴う有毒ガスの排出リスクやCo2の排出は未だ課題となっていることから、サーマルリサイクルはリサイクル手法とは認められていません。

しかし日本ではこの3つの手法を使い分けながらリサイクルを推進しているため、今後の課題としては安全なサーマルリサイクルの技術確立を進めながら、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルのリサイクル率を上げていく必要があります。


マテリアルリサイクルの詳細


◆マテリアルリサイクルは2つに分けられる

リサイクルの3つの手法を理解したところで、ここからはマテリアルリサイクルについてより掘り下げていきたいと思います。

マテリアルリサイクルはさらに2つの分類に分けて考えられています。




レベルマテリアルリサイクル

レベルマテリアルリサイクルは、廃棄物を同じ製品や材料として再利用されるプロセスとなります。分かりやすい例でいうと、ペットボトルを再びペットボトルとして使用されるようなリサイクルが該当します。



ダウンマテリアルリサイクル

ダウンマテリアルリサイクルは、元の製品よりも低いレベル(低い価値)で再利用されるプロセスです。例えば、元々衣類だった繊維製品を綿状に戻し、ファブリック製品の中綿として仕様したり、ウエスなどで工業資材として再利用するようなものが該当します。




◆マテリアルリサイクルのメリットと課題



マテリアルリサイクルのメリット


資源の有効活用ができる

マテリアルリサイクルは、繊維・プラスチック・金属製品・木材など、多岐にわたる資源が効果的に循環利用され、使用済みの製品や資源を捨てることなく、新しい製品の生産に活かすことができます。

これにより、限られた地球資源の消費を減らし、持続可能なサイクルを構築できます。


エネルギーの節約と温室効果ガスの削減ができる

マテリアルリサイクルは、新しい製品を生産する際に必要なエネルギーを大幅に削減します。

原材料の取得や新規製品の製造にかかるエネルギーコストが軽減され、それに伴い温室効果ガスの排出も減少します。環境への負荷を低減しつつ、エネルギー効率を向上させることが期待できます。


廃棄物自体を減らすことができる

マテリアルリサイクルにより、不要な製品や資源が廃棄物として処分されることを防ぎます。

あらゆるマテリアルリサイクルが確立すれば、近い将来「廃棄物」という概念が無くなる世界をつくることができる可能性も秘めているのです。



マテリアルリサイクルの課題


設備の拡充

マテリアルリサイクルは資源を無駄にすることなく活用できるリサイクル手法ではありますが、日本においてはまだ技術が確立されておらず、マテリアルリサイクルのための設備を持つ現場や仕組みも十分に確立されていないということが挙げられます。


品質の劣化をを防ぐ

マテリアルリサイクルの過程では、添加物や付着物の蓄積によって物質の純度が下がり、素材の素材の品質がバージン材よりも劣化していきます。今後のリサイクルにおけるプロセスを改良したり、技術開発による改善が必要な課題です。


低コスト化

マテリアルリサイクルを行う材料は回収後、分別・洗浄などのプロセスが必要になる場合が多く手作業が入ることで、人件費が負担となり製品コストがかさむ傾向にあります。また素材として再生したのちに再加工が必要になることから、これらのコストを削減するためには出来る限り人の手を使わない自動化の設備投資と、設備投資の原価償却が可能になるような大量に使用できる効率的な製品開発が求められます。



まとめ


いかがでしたか?マテリアルリサイクルにはまだまだ課題があるものの、リサイクル率を上げながら環境負荷低減にも貢献ができる魅力的な手法のため、

サステナビリティを意識した取り組みをしたいと考えるみなさんにとって、マテリアルリサイクルの活用は検討する価値があるのではないでしょうか?


当社でもマテリアルリサイクルによって廃棄繊維を資源に変える「再生繊維フェルト材」の開発・製造を行っており、お客様からお預かりした廃棄繊維を原料化して新しい素材としてお戻しするサーキュラーエコノミー事業を行っています。

繊維くずやユニフォーム、リネンなど、繊維であれば何でもご相談可能です。詳しい事業内容をご覧になりたい方はGREEN FLAG事業紹介ページをご覧ください。





執筆者



Noriko Yokokura

廃棄繊維を資源化し、サーキュラーエコノミーを実現したい企業の事業支援を行う素材のメーカー、株式会社GREEN FLAGにて営業企画を担当。廃棄繊維ゼロを目指す様々な事業のサポートを通じて学んだ知識を活かし、環境問題や社会課題についてみなさんにわかりやすいカタチで発信します。




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