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コラム

2026/06/08

NEW 「マテリアルリサイクルとは?」を分かりやすく解説|仕組みから具体例、企業の導入メリットと課題

昨今、サステナビリティについての関心や取り組みは全世界の企業にとって必要不可欠なものになっています。サステナビリティには環境、社会、経済、それぞれに対して課題がありますが、今回は「環境」のサステナビリティに欠かせない考え方であり、企業が導入しやすく、環境貢献度を可視化しやすい手法として注目されている「マテリアルリサイクル」について解説します。

マテリアルリサイクルの基礎知識から、身の回りの具体例、企業が導入するメリットと課題、そして実際に自社でリサイクルを始めるためのステップまで、網羅的に理解を深めていきましょう。


目次(読みたいブロックにジャンプします)
●マテリアルリサイクルとは?基礎知識と注目される理由

マテリアルリサイクルの定義(物から物へのリサイクル)

なぜ今、企業にマテリアルリサイクルが求められているのか?

サーキュラーエコノミー(循環型経済)との深い関係性


● 身近にあるマテリアルリサイクルの具体例

【プラスチック】ペットボトルから衣服やシートへの再生

【繊維・衣類】古着や作業服からウエス、軍手、新素材への再生

【その他】金属、ガラス、建築資材の循環事例


● 企業がマテリアルリサイクルを導入する3つのメリット

メリット①:廃棄物処理コストの削減と資源の有効活用

メリット②:CO2排出量・エネルギー消費の抑制(環境負荷の低減)

メリット③:企業のESG経営・サステナビリティ取り組みの「見える化」


●マテリアルリサイクルが抱える現状の課題

課題①:回収・選別のコストと手間の問題

課題②:リサイクルを繰り返すことによる品質の低下

課題③:混紡繊維や異素材ミックス製品の分別の難しさ


●【マテリアルリサイクル事例】GREEN FLAGが実現する「繊維」のマテリアルリサイクル

分別が難しい混紡繊維をそのまま資源化できる「Rebornfiber®(リボーンファイバー)」

福祉(障がい者就労支援)と環境を両立する持続可能な仕組み


●マテリアルリサイクルはどう始める?導入のステップの一例

ステップ①:自社から出る廃棄物(制服・作業服・端材など)の種類と量の把握

ステップ②:自社でどんな活用ができるのかを検討する

ステップ③:社内の理解を深める目的で行うミニマムのチャレンジ


●まとめ:マテリアルリサイクルは企業の価値を高める成長戦略



マテリアルリサイクルとは?基礎知識と注目される理由




マテリアルリサイクルの定義(物から物へのリサイクル)

マテリアルリサイクル(Material Recycling)とは、廃棄物を単に燃料として処分(サーマルリサイクル)したり化学的に分解(ケミカルリサイクル)するのではなく、「製品や原材料のまま、新たな製品の原料として再利用する」リサイクル手法のことです。

分かりやすい例でいえば、使用済みのプラスチック製品を細かく砕いて(ペレット化)、再びプラスチック製品の原料にする取り組みなどがこれに該当します。廃棄物を資源としてダイレクトに循環させるため、最も直感的でイメージしやすいリサイクル方法と言えます。

なぜ今、企業にマテリアルリサイクルが求められているのか?

今、多くの企業がマテリアルリサイクルに注力している背景には、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」の浸透や、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の活発化があります。

従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のビジネスモデルは限界を迎えており、企業には製品のライフサイクル全体(製造から廃棄・循環まで)に対する責任が問われるようになりました。投資家や消費者、取引先から「環境に配慮した経営を行っているか」が厳しくチェックされる時代において、マテリアルリサイクルへの取り組みは、企業の社会的信用を左右する重要な指標となっています。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)との深い関係性

これまでの、廃棄物をいかに減らすかという「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」の考え方から、現在は「そもそも廃棄物を出さない仕組みを作る」という「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への移行が進んでいます。

マテリアルリサイクルは、廃棄されたものを再び市場に循環させるための「輪」を繋ぐ中核的な役割を担っています。素材を捨てずに循環させ続けることで、地球上の限られた天然資源の枯渇を防ぎ、持続可能な社会の基盤を作ることができるのです。






身近にあるマテリアルリサイクルの具体例




マテリアルリサイクルは、私たちの身の回りのさまざまな製品で既に実施されています。



【プラスチック】ペットボトルから衣服やシートへの再生

最も代表的な事例がペットボトルです。回収されたペットボトルは、洗浄・粉砕されて「再生PETフレーク」や「ペレット」となり、再び新しいペットボトルとして生まれ変わる(ボトルtoボトル)ほか、ポリエステル繊維へと加工されてスポーツウェアやエコバッグ、自動車の内装シートなどに広く活用されています。


【繊維・衣類】古着や作業服からウエス、軍手、新素材への再生

アパレル業界や多くの企業で課題となっているのが、役割を終えた「衣類」や「作業服・ユニフォーム」の廃棄です。これらは回収された後、裁断・反毛(繊維をほぐす工程)を経て、工場で使用されるウエス(雑巾)や軍手、自動車の吸音材、あるいは新しいモノづくりにつながる繊維由来の新素材へとマテリアルリサイクルされています。


【その他】金属、ガラス、建築資材の循環事例

プラスチックや繊維以外にも、古紙から段ボールへの再生、アルミ缶からアルミ缶への再生、廃ガラスを砕いて道路の舗装材や断熱材にする取り組みなど、建築資材や金属の分野でも古くからマテリアルリサイクルが定着しています。




企業がマテリアルリサイクルを導入する3つのメリット



企業がマテリアルリサイクルに本格的に取り組むことは、単なる環境保全活動(ボランティア)にとどまらず、経営上の大きなメリットをもたらします。



メリット①:廃棄物処理コストの削減と資源の有効活用

まず、これまで「産業廃棄物」として費用を支払って焼却・埋め立て処分していたものを、マテリアルリサイクルのルートに乗せることで、廃棄物処理コストを削減できる可能性があります。廃棄処理にかかる費用は単なる支出にしかなりませんが、廃棄せずにマテリアルリサイクルを行う場合、そこに掛かる費用は、事業活動を活性する新たなモノづくりのための「材料」になることもあれば、企業イメージの向上につながる「広告宣伝」になるかもしれません。新たな価値が生まれることで企業にとってプラスとなる有効活用ができるのです。


メリット②:CO2排出量・エネルギー消費の抑制(環境負荷の低減)

ゼロから素材を製造する場合と比べ、すでに存在する廃棄物を原料としてマテリアルリサイクルする方が、製造工程におけるエネルギー消費量やCO2排出量を抑えることができます。これは、全事業者が取り組むべき、カーボンニュートラル達成に向けた推進力となります。


メリット③:企業のESG経営・サステナビリティ取り組みの「見える化」

「自社の廃棄物が何トンのCO2削減に繋がったか」「どのような新しい製品に生まれ変わったか」をデータや現物として可視化(見える化)することは、統合報告書やサステナビリティレポート、Webサイトを通じて社内外にアピールする強力な武器になります。ステークホルダーからの信頼獲得はもちろん、社員の環境意識(インナーブランディング)向上にも寄与します。



マテリアルリサイクルが抱える現状の課題



多くのメリットがある一方で、マテリアルリサイクルを社会全体、あるいは自社内で普及させるには、いくつかクリアすべき課題も存在します。


課題①:回収・選別のコストと手間の問題


一般的に、マテリアルリサイクルを成功させる大前提は「綺麗な状態での分別・回収」であることが必要です。異物が混入していると、再生された素材の品質が著しく低下するおそれがありす。しかし、社内で細かな分別ルールを徹底することや、各地から廃棄物を集めるための物流コスト(静脈物流)の負担が、導入のハードルとなるケースがあります。


課題②:リサイクルを繰り返すことによる品質の低下


素材(特にプラスチックや繊維)は、熱や加工の履歴が重なることで、素材の物理的強度や品質が徐々に低下する性質があります。そのため、永続的な循環の視点で取り組むにはまだまだ技術が追いついていないといった現状があります。


課題③:混紡繊維や異素材ミックス製品の分別の難しさ


現代のあらゆる製品はデザイン性や機能性を高めるために、複数の素材が組み合わされていることがほとんどです。例えば衣服の場合「綿×ポリエステル(T/C)」といった混紡(こんぼう)繊維のほか、裏地や中綿、ボタン・ファスナーなどの異素材が組み合わされており、これらをひとつひとつの素材に完全に切り離すことはコスト面であまり現実的では無い場合が多いです。






【マテリアルリサイクル事例】GREEN FLAGが実現する「繊維」のマテリアルリサイクル




こうした「分別の難しさ」や「コスト」というマテリアルリサイクルの壁を乗り越え、繊維の分野において企業のサステナビリティ推進を後押しすることが株式会社GREEN FLAGが挑んでいる挑戦です。

環境省の調査によると、近年の国内における衣服の排出量は年間約70万トン以上にのぼり、未だ約6割以上がリサイクルされずに焼却・埋め立て処分されていると推計されています。GREEN FLAGはこの巨大な課題に向き合い、これまでリサイクルの難易度が高かった「衣料品」の領域で、マテリアルリサイクルの仕組みを構築しています。


分別が難しい混紡繊維をそのまま資源化できる「Rebornfiber®(リボーンファイバー)」

従来の技術では、ポリエステルや綿、ナイロンなどが混ざり合った「混紡繊維」の100%マテリアルリサイクルは極めて困難でした。しかし、GREEN FLAGが提供する再生繊維リサイクルボード「Rebornfiber®(リボーンファイバー)」は、素材ごとに細かく分別・解体することなく、混紡繊維をそのままの状態で強度の高い硬質ボードへとアップサイクルすることができます。企業の不要になったユニフォームや、製造工程で出る繊維の端材を、オフィス家具やインテリア資材といった「形ある資産」へと生まれ変わらせることができるのです。


福祉(障がい者就労支援)と環境を両立する持続可能な仕組み

GREEN FLAGのリサイクルスキームのもう一つの大きな特徴は、回収した衣服の仕分けや、リサイクル前段階の手作業による解体工程において、障がい者就労支援施設と連携している点です。環境負荷を減らすだけでなく、地域社会における雇用創出や福祉への貢献という「S(Social:社会)」の側面も同時に満たすことができる、サステナブルモデルを実現しています。



マテリアルリサイクルはどう始める?導入のステップの一例


最後に、繊維資源を例にして、企業が自社でマテリアルリサイクルを具体的に進めるためのステップを解説します。


ステップ①:自社から出る廃棄物(制服・作業服・端材など)の種類と量の把握

まずは、自社のオフィスや工場、店舗から「どのような廃棄物が」「どれくらいの頻度・量で」排出されているかを棚卸しします。特に定期的にモデルチェンジが行われる「事務服・作業服(ユニフォーム)」や、イベントで一度だけ使った「タペストリーやバナー」、製造過程の「繊維端材」などは、マテリアルリサイクルの対象として非常に検討しやすい領域です。


ステップ②:自社でどんな活用ができるのかを検討する

マテリアルリサイクルは「物から物をつくる」リサイクルのため、自社で循環を達成する際にはマテリアルリサイクルされた材料で「なにをつくるか」または「何に使うか」を決めることが必要です。

・従来から仕入れている資材への置き換え

・新規事業や新商品の開発

・従業員のエンゲージメントを高めるためのツール

・企業のブランディングツール

・優秀な人材確保に向けたリクルート用のプロモーションツール


ステップ③:社内の理解を深める目的で行うミニマムのチャレンジ

はじめから全量のマテリアルリサイクルを試みようとすると、内容によっては既存のサプライチェーンの見直しから始めなければならず、なかなか一歩目を踏み出せないという企業が多いのも実状です。

GREEN FLAGでは、こうした企業の悩みに応え「少量(60kg〜)の廃棄繊維で取り組める循環スキーム」を提供しています。このようなミニマムで取り組めるスキームを活用し、まずは社内の理解を深めることを目的として、少量のマテリアルリサイクルを実施してみることも大きな第一歩であると考えます。



まとめ:マテリアルリサイクルは企業の価値を高める成長戦略


マテリアルリサイクルは、単に「ゴミを正しく捨てる」ための手段ではありません。廃棄物を価値ある資源へと変え、企業のコスト削減、CO2削減、そしてESG評価の向上をもたらす、経営の「成長戦略」そのものです。

従来通りの廃棄処理が楽だという考え方もあるでしょう。しかしながら、企業と社会の両者が持続可能な状態を築くためには、重い腰を上げるべきときに来ているとわたしたちは考えます。まずは少量からでも始められるマテリアルリサイクルを取り入れて、持続可能な未来への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。







執筆者



Noriko Yokokura

廃棄繊維を資源化し、サーキュラーエコノミーを実現したい企業の事業支援を行う素材のメーカー、株式会社GREEN FLAGにて営業企画を担当。廃棄繊維ゼロを目指す様々な事業のサポートを通じて学んだ知識を活かし、環境問題や社会課題についてみなさんにわかりやすいカタチで発信します。




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